こんにちは、バナピンです。
本記事ではフィリピン港湾運営の最大手である
国際コンテナターミナルサービス【ICT】の企業研究をしています。
- フィリピン港湾最大手でほぼ独占状態
- 2019年~2023年の売上高年平均成長率は12.58%と文句なし
- 配当利回りも3%前後で安定
- PERは若干高めで推移
- PSEi採用株で比較的安定投資が可能
- 配当+値上がり どちらにも期待が出来る優良株
- 投資する価値が高い銘柄
基本情報
企業名 | 国際コンテナターミナルサービス株式会社 (International Container Terminal Services, Inc.) |
ティッカー | ICT |
設立日 | 1987年12月24日 |
決算日 | 12月31日 |
セクター | サービス |
サブセクター | 輸送サービス |
発行株式総数 | 2,031,988,603 ※2023年度時点 |
浮動株数 | 1,036,314,188 |
浮動株率 | 51% |
Webサイト | http://www.ictsi.com |
PSE | https://www.pse.com.ph/company-information-ict/ |
PSE edge | https://edge.pse.com.ph/companyPage/stockData.do?cmpy_id=83 |
事業内容
世界のコンテナ輸送業にサービスを提供する国際的な運営会社。
コンテナターミナルの買収・開発・運営および管理。
一般貨物の取り扱い・保管・コンテナサービス等の付帯サービスも提供。
地元の港湾当局と長期利権協定や官民パートナーシップ(PPP)を通じて運営。
事業地域・国
世界19か国、32のターミナルを運営。(2024年4月現在)
フィリピン | エクアドル | ホンジュラス | コロンビア |
ブラジル | ポーランド | メキシコ | オーストラリア |
パプアニューギニア | ジョージア | イラク | カメルーン |
中国 | マダガスカル | アルゼンチン | ナイジェリア |
インドネシア | クロアチア | コンゴ民主共和国 |
地域別取扱量
年次報告では、アジア・アメリカ・EMEAの3つに分けています。
全コンテナ取扱量の約半数をアジアが占めています。
管理する港湾の変動はあるものの、右肩上がりで順調に推移。
【TEU】とは、20フィートで換算したコンテナ個数を表しています。
ちなみに2022年の日本のコンテナ貨物取扱量(国外)は、約1,797万TEU。
主要な港)東京・約493万TEU、横浜・約297万TEU、神戸・約289万TEU。
日本のコンテナ貨物取扱量の約70%の規模であることが分かります。
地域別売上高
アメリカ・EMEAは物価高+為替による影響で、取扱量以上に売上高が上昇。
1TEUあたりの売上高
アメリカ・EMEAは物価高+為替による影響で、単価が上昇。
アジアは毎年同じ水準で推移。
単価の大きな下落も見られないため、今後も取扱量に比例して売上高が推移すると予測できます。
フィリピン国内における港湾事業について
フィリピンの港湾運営事業者
フィリピンで港湾事業を運営しているのは大きく分けて以下の3つです。
政府機関 | フィリピン港湾公社(PPA)やセブ港公社(CPA)など。 |
民間企業 | 国際コンテナターミナルサービス【ICT】、アジアンターミナル法人【ATI】など。 |
地方公共団体 | 地方公共団体がそれぞれ運営。 |
1つの港を1つの事業者が運営していることもありますが、
複数の事業者が分担して運営している場合が多いです。
競合となる民間企業ですが、多くはありません。
今後も同規模の事業者が参入することは無いと思われます。
一方、インドなどの東南アジアの企業がフィリピンの港湾運営に興味を示しています。
海外の大型企業が参入することは十分考えられます。
フィリピンのコンテナ取扱量
フィリピンのコンテナ取扱量は以下の通りです。
(TEU) | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
フィリピン コンテナ取扱量 | 7,572,722 | 7,865,906 | 6,757,741 | 7,373,515 | 7,904,422 |
※MICTはマニラ国際コンテナターミナルの略です。
MICT・マニラ北港・マニラ南港はフィリピン最大のマニラ港の港区で、
取扱量上位5港のうち、3港をマニラ港が占めています。
最大の取扱量を誇るMICTを運営しているのは国際コンテナターミナルサービス【ICT】です。
この数字からも、フィリピン最大の港湾事業者であることが分かります。
フィリピンも日本と同じく島国であり、貿易大国です。
今後も取扱量は順調に推移していくと予想されます。
フィリピンで国際コンテナターミナルサービス【ICT】が運営する港
国際コンテナターミナルサービス【ICT】が運営している港は以下の通りです。(2023年4月現在)
- マニラ国際コンテナターミナル(MICT)
- ノースポート
- マニラ多目的ターミナル
- カビテゲートウェイターミナル
- スービック湾国際線ターミナル
- ラグーナゲートウェイ内陸コンテナターミナル
- バウアン国際港
- ビサヤコンテナターミナル
- ミンダナオ島コンテナターミナル
- マカール埠頭
フィリピン各地に運営拠点を構えています。
競合他社
企業名 | ティッカー | 企業概要 |
Asian Terminals, Inc. | ATI | 主にフィリピン国内の港湾事業を運営。 【ICT】に次いで国内2番目の民間企業。 マニラ南港やバタンガス港などを運営。 |
Harbor Star Shipping Services | TUGS | 主に港湾運営の支援やサルベージ業務を展開。 その他にも海洋サービス全般に対応している。 バタンガス港では穀物や商品のターミナルを運営。 |
フィリピン国内では国際コンテナターミナルサービス【ICT】がダントツのシェアを誇っています。
港湾運営を行う民間企業が少なく、新規参入も容易ではないため、
ほぼ独占状態にあると言っても過言ではありません。
その他・筆者分析
下図は2020年の世界の海上輸送量をグラフ化したものです。
海上輸送は経済的かつ環境的である点から、世界的に見て増加傾向にあります。
今後も確実に増えていくと予想しています。
競合が少ないことや、安定した事業運営であることから、
今後もシェアを拡大していくと予想しています。
財務情報【2023年度決算まで】
売上・利益
売上高は毎年右肩上がりで順調に推移。
利益率は2021年度から大幅に上昇し、20~30%台と好調。
売上高の増加に比べて、利益率が大きく伸びているのは
のれんによる減損額の減少と利息収益の増加によるもの。
配当金・配当利回り
3%前後で推移しているが、年度ごとで若干のバラツキ。
高配当銘柄ではないが、一定の配当収益も期待できる。
キャッシュフロー
潤沢な営業キャッシュにより安定。
コロナ禍でもフリーキャッシュフローは黒字。
EPS
PER・PBR
PERは2021年以降は標準的な数値に落ち着いています。
PBRは若干高め。
ただし、売上高・純利益が順調に推移していることで
高すぎる評価は受けていない印象。
ROA・ROE
ROAは2021年より急激に上昇しています。
これは単純に2021年から純利益が急増したためと読み取れます。
ROEも同様に2021年より急激に上昇しています。
財務レバレッジによる影響は限定的で、純粋なROEが成長。
効率的な事業運営が出来ていると評価できます。
流動比率・負債比率
流動比率は、100を下回る年があるのが気になるところですが、
比較的安定した数値で推移していると見れます。
100を下回る年が連続していないため、経営状況には影響ないと判断できます。
負債比率についても、健全経営水準とされる300%付近を推移しています。
負債比率は財務面だけで判断するのなら低ければ低いほうが良いですが、
事業拡大を行う上では、ある程度の負債は必要不可欠とも言えます。
特に気にする数値ではないでしょう。
直近決算ポイント
2023年度
2023年度の売り上げの51.5%がアジア圏であり、フィリピン含むアジア各国が重要な拠点である。
EMEAではパキスタン国際ターミナルが2023年6月に契約期限が終了し、TEUが減少。
純利益はのれんによる非現金償却の影響で減少。
(償却が無ければ7%増)
2023年7月、アフリカ最大の南アフリカ・ダーバン港を入札、2024年内に操業を開始予定。
→コンテナ取扱量の拡大、増収・増益に期待が高まる。
ASIAMONEY 2023年 優良企業世論調査 フィリピン運輸部門 受賞
第13回 アジア・エクセレンス・アワード アジア最優秀CSR賞 受賞
Alpha Southeast Asia 第13回「フィリピン最優秀年次報告書」賞 受賞
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